僕がデンマークに行って、そしてフォルケホイスコーレで過ごして良かったと思うことの一つに、難民の人たちとの出会いがあります。
日本にいたときは、「難民」って聞いても、どこか遠くの国の話のようで、正直ピンとこなかった。
でも、デンマークで難民の人たちとたくさん出会い、友達になり、彼らの存在がとても身近になりました。
今回はそんな友達の一人、内戦の絶えないシリアからデンマークへ来たAhmad(アフマド)へのインタビュー内容をお届けします。
彼は今、カルーホイスコーレでキッチンスタッフとして働いています。
- なぜデンマークに来たのか?
- どうやって来たのか?
- デンマークでどう生活をしているのか?
リアルな話を聞かせてもらいました。
目次
内戦に加担したくなくてシリアを出た
そこで家族と住んでた。
そのあと、仕事をするために一人でレバノン(シリアの隣国)に移って、そこからデンマークに来た。
ハサカはこちら。
レバノンはここ。
シリアでは、18〜45歳の間に、兵役に行かないといけない。
兵役に行くと、シリア国内の内戦に駆り出される。
それに加担したくなくて、国を出た。
残高1ユーロ。船とバスを乗り継いでデンマークへ
国境手前でバスを降りて、監視員の目を盗んでトルコへ自分の足で入った。
そのあと、マケドニア→セルビア→スロバキア→ドイツとバスで移動して、最後デンマークに行き着いた。
シリアから来たことを伝えると、移民局のようなところに連れて行かれた。
そのあと、オールボーの近くの街へ移されて、そこで生活することになった。
オールボーはこちら。
でも、お金が足りなくて。
シリアを出るときは200ユーロ持ってたけど、デンマークに着いた時には1ユーロしか手元に残っていなかった。
だから、もうそこからスウェーデンへ移動することができなくなった。
移動が大変になるから、そもそも荷物はちょっとしか持っていなかったし、途中で雨に降られてグチャグチャになった服なんかも捨てながら移動してきたから、最後はほとんど何も残ってなかった。
みんな今はバラバラに暮らしている。
トルコにいたり、レバノンにいたり、バラバラ。
インターネットがあれば繋がれるから、大丈夫。
プラクティックを経てカルーホイスコーレのスタッフに
Flauenskjoldはここ。
言葉も話せないし。(デンマーク語も英語も)
そのことを、通訳の人を通してコミューン(市役所)に相談したら、カルーホイスコーレを紹介してもらえた。
カルーホイスコーレではデンマーク語を学べるから、いいんじゃないかって。
生徒をしながら、カルーホイスコーレのキッチンとエーベルトフトにあるレストランの2ヶ所でプラクティックもさせてもらった。
エーベルトフトはこちら。カルーホイスコーレから車で約20分の場所。
学校を卒業することになったけど、プラクティックでの働きを認めてもらえて、カルーホイスコーレでキッチンスタッフとして雇ってもらえることになった。
それが2018年1月だから、聖也がカルーホイスコーレに来たのと同じタイミング。
デンマーク語習得の鍵は「とにかく話すこと」
英語も話せへんのにそこまで上達してるのはホントにすごい。
それが大事。
日本人は恥ずかしがったり、失敗を恐れる人が多いと思う。
けど、自分にはそれがないし、必要ないと思う。
あと、休みの時間にDR(デンマークのテレビ放送)を観たり、デンマーク語をいっぱい聞いてる。
デンマークとシリアの違い
でも、デンマークが好きかどうかは、正直半々。
自分の国に比べて、温かさを感じないことがある。
例えば、シリアやイランでは、誰に対してもウェルカム。
知らない人であっても、誰かが困っていたら助けるのが当たり前。
でも、デンマークの人の中には、(心を)閉ざしている人がいる。
もちろん、素晴らしい人もたくさんいるし、自分はその人たちのことをリスペクトしてる。
けど、中にはそうじゃない人がいるのも事実だから、あまり良い文化だと感じないことがある。
なんで自分を育ててくれた人を、施設に放り込んで、ほったらかしにするの?
あり得ない。
家族は助け合うもの。
自分の家族の手助けは、家族がするのが当たり前。
だから、老人ホームがあることが信じられない。
家族が一番大切。
文化を理解する必要があるし、言葉を習うのもそう。
自分からオープンになって、相手との距離をなくす努力をしている。
※確かにアフマドは、日本の言葉をたくさん覚えてよく話しかけてくれます。
ただ楽しんでいるだけと思っていたけど、近づこうとしてくれていたんだと思う。
大変だったことなんてない。「別の道を探せばいい」
だって、道が1つなくなったとしても、別の道に行けばいい。
ただそれだけ。
何の問題もないだろ?
でも、そうなっても問題ない。
ちがう道に行くだけだから。
「自分は何でもできる」。そう思うことが大切。
シリアでは日本が人気?
新聞を読んだり、テレビを観たり。
映画も観るし、Youtubeも観る。
そういえば、シリアでは日本のテレビ番組やアニメが流行ってた。
アフマドが教えてくれた動画がこちら。
日本の礼儀正しい部分や働き方を紹介するような番組。
シリアの人はこれを観て、日本人をすごくリスペクトしてるんだよ。
その番組がこちら。
まとめ
今回は、シリアからデンマークへ来たアフマドのお話をお届けしました。
難民問題は、世界全体で考えないと解決しない問題だと思っています。
でも、日本ではあまりに馴染みがなさすぎて、現実味がないというか、なんというか。
それでも、そんな状態だった僕でも、実際に友達ができると、やっぱり彼らには幸せになってもらいたいと思うし、自分ごとのようになりました。
一番知れて良かったことは、難民の人たちがみんなものすごい温かい心の持ち主ばかりで、そして前向きに生きているということ。
アフマドがインタビューの中で話していた、「シリアの人の温かさ」というのは、彼らと接しているとよくわかります。
日本で難民の人の声を聞く機会はあまり多くありません。
だからこそ、多くの人に知ってもらいたいと思って、今回アフマドにインタビューさせてもらいました。
もしかしたら、これを読んでも、まだピンとこないかもしれません。
でも、少しでも難民の人たちのことを知る、関心を持つということが大切なんじゃないかなと思います。
この記事がそのきっかけになれば嬉しいです。