僕はこの質問を5万回ぐらいされました。(誇張です)
数ある国の中からなんでデンマークを選んだのか、疑問を持たれる。
これはきっと、デンマークワーホリ経験者あるあるでしょうね。
実はこの疑問、デンマークを選んだ当の本人たちも気になるところなんです。
「自分と同じようにデンマークを選んだあの人は、どういう理由でデンマークに来たんだろう?」
めっちゃ気になるんですよね。
周りの人たちも気になるし、本人らも気になる。
それってつまり、国民全員が気になってる可能性がありますよね?(言い過ぎ?)
というわけで、デンマークに留学している方にインタビューをさせてもらいました。
この前、去年1年間通ったデンマークの学校「カルーホイスコーレ」に一時復帰したんですが、そのときに、今カルーホイスコーレに通っている生徒数名にインタビューをさせてもらってきたんです。
今回はそのうちの一人、かよさんのお話をご紹介します。
かよさんと僕は、2018年8月コースに一緒に在籍していました。
彼女はそのコースが終わったあともカルーに残り、今の学期(2019年1月コース)にも通っています。
「かよさん」って書いてますが、めっちゃ友達です。
なので、普段は「かよちゃん」って呼んでるし、インタビューもすごいフランクな雰囲気でさせてもらいました。
はじめに
インタビューの内容
今回のインタビューでは、主に下のような内容を聞かせてもらいました。
- これまでのキャリア
- デンマークに来た理由
- カルーホイスコーレを選んだ理由
- カルーホイスコーレの良いところ悪いところ
- プラクティック(職業訓練)の体験談
- デンマーク語の習得について
- 今後のプラン
すっごい良い話がいっぱい聞けて、気づいたら1時間半もインタビューしちゃってましたよ。
デンマークを選んだ理由や学校生活のことなど、みなさんが気になるであろうリアルな話がてんこ盛りです。
特にデンマークへの留学を検討されている方には、めちゃくちゃ参考になるんじゃないかなって思います。
ぜひ読んでみてくださいね。
カルーホイスコーレについて
インタビューの内容を読んでいただく前に少しだけ補足を。
カルーホイスコーレ(Højskolen på Kalø、以下、カルー)は、デンマークにある学校です。
北欧独自の教育機関「フォルケホイスコーレ」という種類の学校になります。
カルーはデンマーク語の教育に定評がある学校で、「デンマーク語を学ぶならこの学校!」みたいな感じの位置付けですね。
詳しくは下の記事にまとめているので、気になる方は読んでみてくださいね。
という方は、下の記事をどうぞ!
それではここから、インタビューの中身をお届けします!
かよさんへのインタビュー
キャビンアテンダントを辞めてデンマークへ
2012年から2016年の4年間はキャビンアテンダント(CA)をやって、そのあと3ヶ月だけ公務員の専門予備校で働いてたの。
で、そのあとその仕事を辞めて、2017年の3月にスノーホイホイスコーレ(フォルケホイスコーレ)の3週間体験プログラムに参加。
帰ってきてからクルーズトレインで1年3ヶ月働いて、2018年8月からデンマークに来た、って感じ。
不安はなかったね。
逆に、今行かないと、もう行けなくなるかなっていうのは思ってて。
たぶん、30歳を過ぎたら、結婚とかキャリアのことをもっと考えるかなと思って、20代のうちに行っといた方がいいかなって。(デンマークへ来たときは29歳)
あと、20代最後の挑戦をしたいって気持ちがあって。
迷いは全然なかったかな。
デンマークへの切符は、「幸せって何?」「自分は何がしたいんだろ?」
かよちゃんがデンマークに来た理由は何だったの?
まず、CAをやっていたときに、仕事に窮屈さを感じてたの。
なんでかっていうと、私がいた会社では、どんどんみんな上のポジションに上がっていかなくちゃダメで。
例えば、国内線の責任者とか、何かしらの役職を絶対やらなくちゃいけなかったの。
だから、みんなやりたくなくても、自らリクエストしてポジションに就くための判定試験をしてもらってっていうことをしていて。
なんかそういう環境とか、日本社会の他人の目を気にする文化が窮屈だなって感じてた。
あと、「幸せとは何か」っていうことを、CAをやっていた時に考えてたの。
CAをやっていたとき、やっぱり社長さんとかお医者さんとか、いわゆるお金持ちの人たちと接することが多かったんだよね。
そういう人たちが話すことって、「タワーマンションの最上階に住んでいて、有名なブランドのベッドを買った」とか、そんな話が多くて。
でも、自分はそれを聞いても共感できなくて、「物質的な幸せが本当の幸せなの?」って疑問だった。
もちろん、お金持ちの全ての人たちが、「物質的な幸せ=本当の幸せ」って考えてるとは思ってないよ。
でも、「本当の幸せって、精神的な豊かさじゃないの?」って思ってたんだよね。
そのあたりから、「幸せって何なの?」って考えるようになった。
それと、自分が今後何をしたいのかがわからなくなっていて。
CAを辞めたあと、「もっと個々の人と密に関わる仕事がしたい」と思って、公務員の予備校のスクールカウンセラーとして働き始めたの。
でも実際は人手不足で、スクールカウンセラーとしての仕事より事務仕事ばっかりで・・・。
思っていた仕事とかけ離れていたから、結局3ヶ月で辞めることになったの。
そのあと、自分が何がしたいのかよくわからなくなっちゃって。
そんな状況で次の仕事を探していたときに、仕事旅行っていうサイトに載ってたフォルケホイスコーレに関する記事を見つけたの。
そこには、「フォルケホイスコーレは、自分の生き方を模索できる場所」って書いてあったんだけど、それを読んで、今の自分にぴったり過ぎてビビビッと来て。笑
しかも、デンマークって幸せの国で有名ってことは知ってたから、さっき言ったとおり、幸せとは何かって考えてたこととも重なったの。
でも、デンマークに行ったことがなかったから、いきなり長期で行くのが不安だった。
だから、まずは短期で行きたいな〜って思ってたところ、たまたまスノーホイの3週間体験プログラムっていうのを見つけて。
とりあえず3週間行ってみようかなってことで、デンマークへ行くことを決めたの。
それが、デンマークとの出会いだった。
めちゃくちゃ楽しかった!
すごい居心地が良くて、最高だった。笑
良かったのは、先生と生徒がフラットっていうのを感じられたこと。
カルーもそうだけど、先生が「先生」って感じじゃないじゃんか?
そこで出会った先生も、「自分はこの仕事を誇りに思っている」とか「人に教えているけれど、自分も生徒から学べることがある」って言っているのを聞いて、すごいなって思った。
あと、自分が人に認められているっていうことも強く感じた。
授業で自分の意見を言っても、まずは受け入れてくれる。
それで、「自分を認めてもらえている」って感覚があったの。
日本にいた時に、たぶん無意識に人に認められたいって思ってたんだと思う。
それをデンマークですごく感じたから、自分には人に認められる感覚っていうのが足りてなかったんだろうなって気づいたの。
あと、日本にいた時は、「自分は何者かにならないといけない」って思ってたんだよね。
何者かになれば、他人に必要とされるし、認められる。
そう思ってて。
でも、デンマークに行ったことによって、別に何者かになる必要はなくて、自分は自分でいいんだっていうのをすごい感じた。
だから居心地が良かったのかなって思う。
カルーを選んだ理由は「デンマークで長く生活してみたい」
今度はデンマークでもっと長く生活してみたいと思ってたの。
デンマークで長く暮らすには、デンマーク語がやっぱり必要かなって思ったのが理由の一つ。
それと、デンマーク語を学ぶことによって、デンマーク人の価値観とか考え方を学べるかなっていうのもあったかな。
あと、カルーにはプラクティック(職業訓練)があるっていうのを聞いて。
プラクティックに参加すれば、デンマークの生活や社会について学べるかなと思って、この学校にしようって決めた。
だから、カルーに行こうと決めた理由は、語学とプラクティックの2つだね。
生徒で学校を作るカルーの雰囲気が好き
良いところは、すごい居心地が良いってところかな。
なんで居心地が良いんだろ・・・年齢かな?
今学期は若い人が多いけど、特に前学期は自分の年齢に近い人が多かったし、60歳ぐらいの年配のデンマーク人も4、5人いたから、落ち着いて生活できていたのかも。
今のコースも、若い人は多いけど自分と歳が近い人もいるし、やっぱり年齢は大きいかな。
やっぱりデンマーク語を教えるのは上手だなって思う。
めちゃくちゃわかりやすい。
あと、「生徒で学校を作ってください」っていうスタンスなのも好きかも。
先生が前に立って先導するんじゃなくて、例えば放課後のアクティビティとかも、生徒がやりたいことを提案してやってるしね。
最初の学期が始まった時に、実際にシモン(先生の中で一番えらい人)が、「学校は、先生じゃなくて生徒たちが作るものだ」って言っていたのを聞いて、素敵だなって思った。
日本だと、先生がレールを引いているような感じがしてたから、そこがデンマークらしいのかなって思ったかな。
日本人が多すぎると感じたことも
悪いところはないかもしれない。
ご飯がちょっと(美味しくない)・・・って思うことはあるけど。笑
でも、ホント、特にないかな。
逆に聖也さんなんかある?
ん〜、思いつかへんな〜。
たまに、水道の水が止まったりすることがあって困ったけど、でもそれもまあ別にいっかって思えるようになっていったね。
確かに。
日本人が多いっていう部分についてはどう思う?
カルーの悪い部分って感じてる?
それはちょっと感じるかも。
最初の学期で、結構日本人で固まっちゃったから、今学期はデンマーク語習得のために、実はなるべく日本人と話すのをやめようと思ってたの。
でも実際始まってみると、やっぱり日本人と話さないっていうのは難しいんだよね。
母国語で話すのがラクだし、結局話しちゃう。
だから、デンマーク語を習得するという意味では日本人が多いのはあまりよくないとは思う。
もうちょっと少なければなって思ったことはある。(今は15人の日本人が在籍)
5〜6人ぐらいがちょうどいいような気がするかな。
保育園とホテルで職業訓練を経験
かよちゃんはプラクティック(職業訓練)をやってると思うんやけど、どんなことしてるん?
2018年8月コースの時は、保育園に行ってた。
頻度は週1回で、毎週金曜日の9〜14時まで、間に休憩が30分あった。
私は5-6歳のクラスを担当させてもらってた。
内容はひたすら子供と遊ぶって感じ。笑
お昼ご飯は子供たちと一緒に食べてた。
だいたい子供たちは毎回外でランチを食べてたから、私たちも一緒に外で食べてたね。
休憩の30分間は先生の部屋でコーヒーを飲みながら過ごしてた。
保育園でのプラクティックは全部デンマーク語?
その時は、デンマーク語と英語の両方だった。
デンマーク語で言ってることがその時はわからなくて。
わからないところは英語でお願いしてた。
むしろ英語の方が多かったかも。
子供たちの言ってることもわからなくって。
それが結構つらかった・・・。
ひたすら子供たちにからかわれてた。笑
子供たちとはどんな遊びをしてたの?
外で走り回ったりとか、泥んこ遊びとか、滑り台とか。
あと、自転車で走ったり。
それを一緒にやってたって感じかな。
プラクティックの仕事ができるようになるまでの流れってどんな感じだったの?
「こういうところでプラクティックをしたい」っていう希望を先生に伝えたら、保育園とかホテルにアポイントを取ってくれたの。
そのあと、先生と一緒にその仕事場に行って、どれくらい働けるとか、いつからスタートできるとかっていう話をして、始まったっていう感じだったかな。
ホテルのプラクティックについては、事前に履歴書を求められたから、自分で英語の履歴書を作って、先生経由でホテルへ送った。
今は金曜日と土曜日の週2ペースでプラクティックしてる。
「この学校が終わったあと、できればホテルで働きたいって思ってる」っていう話を先生に相談して、今回のプラクティックが決まったんだけど、そうであれば週2回ぐらいは行った方がいいんじゃないかってその先生と話して決めたって感じかな。
時間は、基本14-18時で働いてるけど、たまに変更になる日も。
今はオフシーズンだからお客さんも少なく、時間が短くなる日も多い。
デンマーク語。
めちゃくちゃ勉強になる。
受付の人たちがめちゃくちゃいい人たちで。
私がデンマーク語を勉強したいからって、デンマーク語を話す環境を作ってくれて。
例えば、お客さんが来た時にも、まず私をお客さんに紹介してくれるの。
「彼女はデンマーク語を勉強するためにここに来ているから、だから彼女に対応させてあげてもいいですか?」って、お客さんに前もって言ってくれて。
そういう前置きがあるから、すごくやりやすくて。
すごい理解のある職場。
あと、数字を入力する業務を任されたことがあったんだけど、入力したあとに間違ってないか確認をお願いしたの。
そしたら、「なんで?私はあなたを信頼してるよ」って言われて。
プラクティックの身で、しかも外国人の自分を信用してくれてるってことにすごくびっくりし、嬉しかったな。
めちゃくちゃ難しい。
でも、何回か行くうちに、最初の頃に比べるとわかることが増えてきてるのは感じてる。
デンマーク語をもっと磨くためにカルーを継続
日本にまだ帰りたくないって思ったの。
その理由は、デンマーク語が中途半端だったから。
だから、デンマーク語をもうちょっと勉強したいと思って残った。
学校生活で1番印象的だった先生の言葉「今の自分を認めること」
※かよちゃんがパーティーの最中にスマホをなくし、次の日みんなで大捜索したという事件がありました。
それじゃない!笑
たまたまシモン(先生)と一緒の席になって、そのテーブルにいたみんなで「幸せ」について話し合ってたんだよ。
そのときに、シモンに、「どうやったら幸せになれるんだろ?幸せって何?」みたいなことを聞いてみたの。
そしたらシモンが、「今の自分を認めることが大事」ってことを言ってて。
「自分は太ってるし、顔もカッコよくもないけど、僕はこのありのままの自分に満足してるんだ」って言ってたの。
だから、今の自分を認めて、受け入れることで幸せになれるのかなって感じたんだよね。
それが印象に残ってる。
あのおっちゃんはええこと言いますね〜
ホントに。
尊重?無関心?デンマーク人の考え方が好き
好き。
全部知ってるわけじゃないけど、デンマーク人の考え方が好きかも。
悪くいうと、他人に無関心。
良くいうと、他人を尊重・信頼してる。
サバサバしてるようにも見えるけど、そういうところが好きかな。
あと、物事を深刻に捉え過ぎないって感じもいいなって思う。
土地の雰囲気もすごい好き。
自然が多いよね。
首都のコペンハーゲンも、都会だけど、ちょっと外に出ると自然が広がってる場所があって。
そういう環境が羨ましいなって思う。
都会だけど田舎を楽しめるっていうのが、すごい良いなって思う。
デンマークに住みたい
実現できるかはわからないけど、今後も住みたい。
もし無理だったら、日本とデンマークを行ったり来たりするような生活をしたいなって思う。
デンマーク語習得に英語は必須じゃない
あるに越したことはないと思う。
デンマーク語と英語は似てる部分が多いから、英語がわかってた方がスッと理解できるなってのは感じてた。
でも、デンマーク語を勉強すればするほど、違いがあることにも気づいてきた。
あと、ここにいる生徒で、英語が話せなくてもデンマーク語を話せるようになっている人を実際に見てるから、デンマーク語を習うのに英語は別に関係ないのかなって、今は思ってる。
必須ではないと思う。
デンマークの言葉「Den tid, den sorg」。今を生きる。
今後のプランとか夢は?
今は学生ビザなんだけど、カルーが終わったら、ワーホリビザに切り替えて、シェラン島(首都コペンハーゲンがある島)に移って仕事を探すつもり。
職はホテル関係だね。
そのあとのことは未定だけど、旅行関係の仕事をしたいと思っている。
デンマークでは日本人向けにデンマークを紹介、逆に日本ではデンマーク人に日本を紹介するってことをしたい。
でも、考えは変わるかもしれない。
デンマーク人の生徒に教えてもらったんだけど、デンマーク語に「Den tid, den sorg」っていう言葉があるらしいの。
「その時にならないと、その時の状況はわからない」って意味で、つまり、「将来のことについて、必要になるまで考える必要はない」ってことなんだって。
今はこうだけど、将来は変わる。
今は無理に考える必要はない、いまを生きるって感じでデンマーク人らしい考え方で、すごくいいなって思った。
私も他にやりたいことが出てくるかもしれないし、とりあえず今を頑張ろうと思っている。
まとめ
かよちゃんのインタビュー、いかがでしたでしょうか?
デンマークへ行くと決めた理由から、現地で生活してみて感じたことまで、経験者の彼女のリアルな声は、多くの人にとって興味深かったんじゃないかなと思います。
最初の方に、「日本にいたときに自分が何をしたいのかわからなくなった」と言っていましたが、今はホテルや旅行関係の仕事をしてみたいと話していたところを見ると、デンマーク生活を通じて自分と向き合って、前に進んでいっているんだなと感じました。
また、最後に出てきた「Den tid, den sorg」という言葉。
この話をしていたときのかよちゃんの表情や声がすごくポジティブで印象的でした。
とにかく今したいことを頑張ろうと思うという言葉に、僕の方まで勇気付けられました。
最後に、今回快くインタビューに協力してくれたかよちゃんに感謝です。
本当にありがとう。