デンマークの主な産業をご存知でしょうか?
きっと知っている方は少ないと思います。
実際、僕は友人から、「デンマークの主要産業って何なの?」と何度か聞かれました。
デンマークはまだまだ日本の人に馴染みがない国なので、当然かもしれません。
そこで今回は、デンマークの産業についてまとめます。
この記事を読んでいただけたら、デンマークではどんな産業が盛んなのかを知っていただけると思います。
それでは早速デンマークの産業の話へ入っていきますね。
デンマークの主な産業
農業
まずは農業です。
デンマーク全体の輸出の20%以上を農業が占めており、世界から高い評価を得ています。
デンマークの農作物は日本にも輸出されていて、豚肉と乳製品がメイン。
皆さんも口にしたことがあるかもしれませんね。
デンマークでは、国土の60%以上が農業向けに使われています。
農家1件あたりの農地は60ヘクタール。
日本は2.5ヘクタールなので、日本の24倍です。
その広大な面積を使って作られる農作物は、国内で消費される量の約3倍。
でも、農業就労人口が全労働人口のわずか6%だそう。
元々は農家がすごく多かったんですが、機械の普及や工業に従事する人の増加によって、1950年代あたりから、農家あたりの農地面積は大きくなりながら、個人農家はどんどん減っていきました。
1970年代から1990年代にかけて、毎年2,600もの個人持ち農地がなくなり、大きな農場へと吸収されていったのです。
20世紀の前半は、20万件の個人農家がおり、1農家平均16ヘクタールでした。
それが、1997年になると、農家の数は60,900件、1農家の平均農地は43.6ヘクタールに変化しています。
農地の91%は個人所有、7%は会社所有、残りは国が所有してそうです。
あと、デンマークはクリスマスツリーの生産が盛んです。
国内に3500もの栽培者がいて、年間1200万本のクリスマスツリーが生産されています。
ヨーロッパ内の主要なサプライヤーとして活躍しています。
観光
観光業もデンマークの大きな産業。
125億ドルもの収入を、この観光業から得ています。
メインはやはり首都のコペンハーゲン。
「世界三大がっかり」と言われる人魚姫の像、ディズニーランドのモデルになったとされるチボリ公園、王宮などなど、コペンハーゲンには見所がたくさんあります。
僕はデンマーク国内をあちこち旅しているんですが、コペンハーゲン以外にも本当に素敵な場所が多いです。
日本では見れない西洋のお城、自然が美しい島、カラフルな可愛い街並みなど、日本にはあまり知られていないのが勿体無いと思うぐらい、素敵な場所ばかりでした。
そんなものをたくさん見てきたので、主要産業になるのも納得です。
日本からの観光客はまだまだ多くないと思いますが、ぜひ一度来てみて欲しいです。
このブログでもおすすめの場所をいくつかご紹介しているので、ご参考にしていただけると嬉しいです。
デンマークの名所のまとめ:デンマークの名所!おすすめの場所をエリアごとにまとめました。
デンマークのお城のまとめ:デンマークでおすすめのお城をまとめました
デンマークの島のまとめ:デンマークでおすすめの島!あちこち行ってきたので、まとめます。
エネルギー
エネルギーもデンマークを代表する産業です。
この国にはいろんな種類のエネルギー資源があります。
特に有名なのが、再生可能エネルギー。
バイオマス、太陽光、風力などなど。
僕の中では、デンマーク=風力発電というイメージがあるくらい、デンマーク国内のあちこちで風力タービンを見かけます。
そのイメージは間違ってなくて、実際、デンマークの風力発電量は欧州でトップ。
→風力発電の導入比率は欧州でトップ。
(*ご指摘をいただき、修正致しました。2018/08/14)
2017年には、消費電力の約43%が風力発電で賄われました。
風力発電の導入量(設備容量、風車台数、年間発電量)では、ドイツやスペインなど、デンマークよりも大きな国の方が多いものの、年間の消費電力に占める風力発電の比率ではデンマークが世界でダントツ1位だそうです。
今は世界中で洋上風力発電(海の上で発電)が流行っているらしいのですが、その洋上風力発電はデンマークが世界で最初に始めたみたいですよ。
先日Samsøというデンマークの島に行ってきたんですが、その島の消費電力は全て自分たちで作っているんだとか。
デンマークは風力発電の先進国のようです。
運輸
デンマークは運輸の分野に大きく投資しています。
高速道路や鉄道にお金を使い、輸送ネットワークを整備されてきました。
また、国内には3つの主要な空港があります。
コペンハーゲン空港、ビルン空港、オールボー空港です。
その3つの空港を合わせると、年間3000万人以上もの人が乗客として利用。
その他の空港も、国内国外への重要な移動手段として機能しています。
デンマーク経済
さて、ここまでデンマークの主要な産業について話してきましたが、デンマーク全体の経済についても見てみましょう。
GDP
経済の大きさを測る指標としてよく使われるGDP。
国内で作られたモノやサービスを合計したものです。
2018年のデンマークの名目GDPは、約38兆円。
世界ランキングでは38位の経済規模です。
しかし、デンマークは国土も人口も小さな国ですから、38位をどう評価すべきかよくわかりませんよね。
そこで、国民1人あたりの名目GDPも確認してみました。
2018年、デンマークの国民一人あたりの名目GDPは、約655万円。
みんな1人ずつ、1年間で650万円ずつお金を使ったということですね。
これを世界ランキングで見ると、なんと10位。
それなのに、デンマーク人は労働時間が短いことで有名です。
デンマーク人に聞いたら、やっぱり17時ぐらいには仕事を切り上げて、あとは家族や友達と過ごすと言っていました。
一人ひとりの生産性の高さがうかがえますね。
ちなみに日本は、名目GDPランキングが3位、一人あたりの名目GDPランキングが25位でした。
経済成長率
前の年に比べてどれくらい経済が成長したのかを示す経済成長率も見ておきましょう。
指標は、実質GDPの成長率です。
2018年におけるデンマークの実質GDPの成長率は、1.2%。
大きくはないものの、プラス成長ですね。
また、現時点の経済成長率だけでなく、これまでどのように推移してきたのかも気になるところです。
というわけで、それについても調べました。
結果は、下の通りです。
赤い線がデンマーク、紫の線が日本を表しています。
ここ5年ほどは、日本よりデンマークの方が高い成長率を維持していますね。
インフレ率(消費者物価指数)
インフレ率は、経済がインフレなのかデフレなのかを見るときに使う指標ですね。
消費者物価指数(CPI)の数字でどんな状況なのか見てみましょう。
数字が大きくなればインフレ、つまり、物価が上がっていることを表します。
また、数値が1なら物価の上昇はないということになります。
2018年のデンマークの消費者物価指数は、0.7。
つまり、2018年はちょっと物価が下がった、ということですね。
日本と比較しながら、推移も確認しましょう。
こんな感じです。
赤がデンマーク、紫が日本です。
ここ数年は同じような数値ですが、1980年以降はほとんどデンマークの方が上に位置しています。
日本はずっとデフレでしたからね。(今もまだ脱却できていませんが。)
ちなみに2014年度に日本のインフレ率が上がっているのは、消費増税の影響です。
デンマークについて詳しく学べる「フォルケホイスコーレ」とは?
「デンマークのことについて知ろう!」シリーズとして、今回は産業のことを書きました。
またこの記事をきっかけに、少しでもデンマークに興味を持ってもらえたら嬉しいです。
僕は、フォルケホイスコーレという北欧独自の学校でデンマークの文化や社会について学びました。
デンマーク人の考えや生活を現地で学べる学校です。
どんなところなのかは下の記事で詳しく書いたので、もしご興味があれば読んでみてくださいね。
<参考>
- What Are The Biggest Industries In Denmark? – WorldAtlas.com
- AFPBB News
- 世界経済のネタ帳
- GWECが世界の風力発電の年間報告を発表|一般社団法人 日本風力発電協会
- 農業先進国 デンマーク
- DJ
- Denmark Agriculture, Information about Agriculture in Denmark
- IMF — International Monetary Fund Home Page